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派遣料金の上昇目立つ 事務や技術職、10%増も
人材派遣大手と顧客企業による派遣料金の春季交渉が決着した。すべての交渉案件のうち3割程度が引き上げとなり、人手不足が深刻な事務職や技術職を中心に前年に比べて最大10%程度料金が上がった。正社員の業務を派遣で代替する動きが活発で非正規社員の待遇に追い風が吹いている。


事務職で給与が上がった派遣社員が増えた

 不足する人材の確保に向けて、料金を上乗せする動きが目立った。事務職は5%弱上昇し派遣料金は1時間当たり2300円前後、工場の作業など製造ラインも前年より10%程度上昇し1900円前後となった。

 派遣料金は、派遣会社が顧客企業から受け取る金額。派遣会社は3カ月や半年といった更新時期ごとに顧客企業と交渉する。年度の変わり目の春は年間で最も交渉案件数が多い。上昇幅の一部が派遣社員の時給に上乗せされる。

 大手人材サービスのスタッフサービスでは技術職の更新案件のうち約30%が引き上げで決着。1時間あたりの料金が1000円上がった案件もあった。「AI(人工知能)や新素材開発などを担える技術者の求人が急増している」(同社)。3月の技術職求人は前年より4割増えたことも背景にあり、既存人員の料金上昇を後押しした。

 政府の進める「働き方改革」に伴う業務の見直しで、正社員の事務作業を派遣社員に割り当てる企業が増えている。事務職中心のリクルートスタッフィング(東京・中央)の交渉に応じた顧客は全体の6%。上昇幅は50~100円だった。

 専門知識などの能力を身に付けた事務職員の時給は上がりやすい。派遣会社は研修メニューを充実して受講を進める。「顧客の戦略に合う人材を育成する」(パソナの佐藤スコット社長)狙い。同社の受講率は事務職員の25%で、上昇傾向にある。

 企業の間接部門でも人員確保競争が過熱している。パソナでは顧客情報の管理・分析や販売企画などマーケティング分野でも派遣料金は前年より5%上昇した。

日経新聞


















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【2017/05/12 05:32】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「解雇の金銭解決」 経済界も及び腰


 ある人が解雇されたことを不満に思い、裁判をしたとする。裁判所の判断は、その解雇は「不当」。勝訴だから復職の道が開けるわけだが、もう別の人生を歩もうと考える人もいるだろう。この時に、企業からお金をもらってこの争いを終える仕組みがある。「解雇の金銭解決制度」と呼ばれるこの制度。厚生労働省の検討会で導入を巡る議論が進んでいるが、着地点が見えないまま漂流している。

 この制度は本来、企業と従業員の間で解雇を巡るルールをきちんと定めるものだ。一般的には経済界が旗振り役とされる。一方で、連合など労働側は「企業はお金さえ払えば解雇できると考える」と見て強硬に反対する。

 ところが、実は経済界でも慎重意見が多く、足並みはそろっていない。記者会見などでもトップがあまり語らないこの話題について各団体の本音はどうなのか。

■「泣き寝入り」を防げるはず



 「導入賛成」と明言するのは企業の経営者らでつくる経済同友会。ある意味、制度のメリットの代弁者だ。解決金の支払いにより労働者が次の仕事を探しやすくなれば、成長産業への労働力のシフトなど労働市場の流動化も促せると主張する。加えて、中小企業ではほとんどお金を得られずに突然、解雇されるケースも多い。同友会幹部は「労働者の泣き寝入りも防げる」と語る。

 その解決金に懸念を示すのが中小企業でつくる日本商工会議所だ。厚労省の検討会では金銭解決に合わせて、解決金をいくら払うべきかの議論もしている。ただ、経営基盤が弱い中小企業にとって「解決金の基準が高額になれば、経営への悪影響を考えざるを得ない」(日商幹部)。

 都内の中小企業の社長からは「人手不足が深刻で雇用の流動化よりも、今の社員を守る方が先」との声も漏れる。日商の三村明夫会頭は過去の記者会見で「労働者の希望があれば、金銭の支払いで解決するのは合理的な結論だと思う」との見解を示しているが、積極的賛成というわけではない。

 それなら「中小企業を適用除外にすればいい」という声もあるが、それで足並みがそろうわけではなさそう。それは経済界の総本山の経団連も「導入には慎重」という姿勢だからだ。

 労使間の労働紛争の解決手段は現状では「あっせん」「労働審判」「裁判」がある。しかし、裁判で不当とされた解雇は年間約200件(13年)しかない。経団連幹部は「解決金制度を入れても、雇用の流動化が進むと思えない」とみる。

 一方で日商とは違い、解決金の基準づくりには賛成する。金銭解決制度がない現状でも、実際は労働紛争の大半が金銭で解決しており「水準ができれば、企業が経営上の予測を立てやすくなる」との考えだ。

■経済界がバラバラ

 これまで経済3団体は、原発再稼働や法人実効税率の引き下げなど本気で実現したい政策については、結束して対応してきた。だが今回は応援団なはずの経済界の姿勢がばらばらで、擦り合わせようという動きも鈍い。厚労省幹部は「エンジン役が不在で、推進力が出ない」とぼやく。

 フランスは昨年、業績が悪化した企業の解雇規制を緩める法律を制定。成長産業への労働移動を促し、景気浮揚につなげる姿勢を鮮明にした。金銭解決の導入だけが全てではないが、低成長に悩む日本も「正社員の解雇規制が厳しい」と言われる労働市場の改革は不可欠。それは間違いないはずなのだが、経済界から危機感は感じられない。

日経新聞



















【2017/04/19 05:48】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
電子カルテをネットで閲覧 出張先の診察容易に
診療データ解析のメディカル・データ・ビジョン(MDV)が電子カルテ閲覧サービスに力を入れている。患者は病名や検査結果、薬剤の投薬履歴などをウェブを介していつでも見られるようになり、旅行先や出張先で通院した際に自身の病状を正確に伝えやすくなる。患者の治療方針への理解を深め、医師との対話に役立ててもらう。


旅行先でも現地の医師にカルテを見せればスムーズな診断が期待できる

 サービス名は「カルテコ」。診療情報の二次利用に同意した患者を対象に提供し、電子カルテの一部の情報を見られるようにする。現在3つの病院が採用。2月から運用を始めた大同病院(名古屋市)は年間5000人の利用を目指す。ほかにも2つの病院が稼働に向けて準備を進めている。

 患者はまずカルテコを導入している病院でIDカードを発行してもらう。カルテコのサイトにはカレンダー形式で受診歴が整理されており、投薬履歴や検査結果など医師が作成したカルテの一部を好きな時に見られる。

 「検査結果からどういう判断を経たのか、十分に理解している患者は少ない」とMDVの山本康男・開発営業部門長は話す。

 出張や旅行先で急に体調を崩した際には、医師にカルテコを用いて過去の診断履歴を見せ、病状を正確に説明しやすくなる。同じ病気について別の病院に再検査してもらうセカンドオピニオンでも同じだ。

 カルテコ上では薬の簡単な説明も調べられるため、薬の飲み間違いを防止できる。導入医院では高齢者の患者などで「家族の病状についての理解が深まった」という声もあったという。

 患者が別の病院でも継続した医療サービスを受けられるよう、個々に紙のカルテを返している病院もある。だが、患者がカルテを持ち歩く手間がかかった。

 サービスには山本氏の個人的な思いも込められている。自身の家族が重い病気にかかった際に検査結果の見方も、自分に何ができるのかも分からなかった。病気についてより詳しく知りたかったが、保険適用外になる場合が多いセカンドオピニオンには多額の費用がかかる。

 医療は専門化し、患者にとって分かりにくくなっている。だが、どういう病気で何が処方されているかについて最低限の理解を促し、「患者が医師や治療方針を選べるようにする必要がある」と強く感じた。

 また現在、月2回程度の検査に訪れているが、「別の病院にかかると一から検査しないと病状を正確に伝えられない」(山本氏)。カルテコを使えば、別の病院での診断歴を説明しやすくなると期待する。

 サービスはブラウザ経由で接続する仕組みだが、今後、より見やすいようにスマートフォン(スマホ)アプリも用意する。X線画像なども共有できるようにして、蓄積する情報を増やすことも計画する。

 カルテコは治療費の後払いサービスなどを含めた「CADA―BOX」の一機能として病院に提供している。初期費用は2000万円で、月額利用料は25万円だ。

 MDVの主力事業は大病院から集めた診療データの加工販売だ。ただ、データ収集までに2~3カ月ほどの時間差があるほか、取得できるのは入院患者の情報のみで外来受診の結果は集められないという課題もあった。

 カルテコの提供でリアルタイムの診療データを集め、流行中の感染症がどの年代にかかりやすいかなどのデータを蓄積できるようになったという。

[日経MJ2017年3月29日付]



















【2017/04/01 06:29】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
4月からこう変わる 社会保障で負担増、子育て支援拡充…


 4月から私たちの暮らしに関わる制度が変わる。厳しい財政状況を反映して、社会保障分野では負担増が相次ぐ。一方でサラリーマン世帯や子育て世帯の一部には、負担減の恩恵がありそうだ。

 公的年金の保険料は2004年から毎年引き上げることが決まっており、17年度がその最終年。国民年金は前年度より230円増えて月額1万6490円となる。9月には厚生年金の保険料も増える。支給額は昨年、物価が下がった影響を受け、国民、厚生両年金とも4月分から下がる。

 医療では、後期高齢者医療制度で続いていた保険料軽減の特例を見直す。75歳になる前日まで配偶者や子の扶養家族だった元被扶養者や、一定の年収がある人の保険料が上がる。

 税制ではエコカー減税の適用対象が狭まる。買うときに払う自動車取得税と車検の際にかかる自動車重量税が一部の車で今より高くなる。民間では生命保険各社が、年金保険など貯蓄性商品の保険料を軒並み引き上げる。日銀のマイナス金利政策により運用が苦しくなったのが背景で、大手4社の引き上げ幅の平均値は1~28%となる。

 一方で財布が少し温かくなる項目もある。31日に雇用保険関連法が成立したのを受け、労使で折半する雇用保険料率は0.8%から0.6%に下がる。年収500万円のサラリーマンなら年5000円の負担が減る。

 低所得世帯の子育て支援策も拡充する。市町村民税が非課税となる世帯では、第2子の保育料が無償になる。保育人材の確保に向けて保育士の給与は2%、月約6000円上がる。ベテラン保育士の場合はさらに月5000~4万円賃上げする。


日経新聞



















【2017/04/01 06:29】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
国保赤字2843億円に 15年度、高齢化・高額薬で医療費膨らむ
厚生労働省は28日、自営業者や非正規社員らが加入する国民健康保険(国保)は2015年度に2843億円の赤字だったと発表した。前年に比べ赤字額が243億円減った。財政支援で1700億円の公費が入り最終赤字は改善したが、高齢化や高額薬による医療費の増額に追い付かない。国保財政はなお厳しく、制度の抜本改革を求める声がくすぶりそうだ。



 国保は健康保険の一つで市町村が運営。設立当初は自営業者や農林水産業者を中心にした公的保険だったが、近年は企業を退職した高齢者や非正規社員らが増えた。加入者は3182万人。毎年生じる赤字を市町村が税金で穴埋めしている。

 厚労省は15年度分から赤字額の算定基準を変えた。従来基準でみると15年度の赤字は3274億円に膨らむ。

 収支が苦しい主因は給付費の拡大が止まらないことだ。15年度の保険給付費は9兆5540億円で2.1%増えた。高齢化に加え、C型肝炎向けの高額新薬ソバルディやハーボニーが登場したことも影響した。

 加入者が払う保険料は2兆9506億円で3.5%減った。加入者が120万人減った影響が大きい。収納率は91.45%と6年連続で上昇したものの、給付が増えて収入が減るという大きな流れは変わっていない。

 国保はほかの健康保険に比べると、加入者の高齢化が進んでいることも財政を厳しくしている。平均年齢は14年度時点で51.5歳。このうち65~74歳の高齢者が4割近くを占めている。高齢化するほど医療費はかさむため、国保の1人あたり医療費は33.3万円と大企業の社員が入る健康保険組合の2倍以上だ。

 加入者の収入が低めのため保険料を上げにくい面もある。意図的に保険料を低く抑えて赤字を生み、税金で補填する市町村も一部にある。

 政府は国保財政を支えるために15年度から公費の投入を拡充。さらに18年度には国保の運営を市町村から都道府県に移す方針だ。運営主体を広域に改めればバラバラの保険料を統一でき、財政基盤の強化につながると期待する声がある。半面、保険料が上がる自治体では収納率が下がる恐れも指摘されている。


日経新聞



















【2017/03/01 06:40】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
残業上限、月平均60時間で規制 政府原案
政府は「働き方改革」として企業の残業時間を月60時間に制限する上限規制の原案をまとめた。企業の繁閑に配慮し、忙しい月は100時間までの残業を認めるが、年間では月平均60時間に抑えるよう企業に義務付ける。原則として全業種を対象にして違反企業には罰則を科す。労使の代表や与党とも調整し、年内に労働基準法の改正案を国会に提出する。

 規制の強化で長時間労働の慣行を変える。「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)で議論を始め、2月半ばに開く会合で原案を示す。

 いまの労基法は1日の労働時間は8時間まで、1週間では40時間と定めている。同法36条に基づく労使協定(さぶろく協定)を結べば残業が認められる。この場合、月45時間までにするよう厚生労働省は求めている。

 ただ協定に特別条項を付ければ残業時間の制限はなくなる。政府は労基法を改正して特別条項にも上限を設け、月60時間までにする。規制が企業活動を制限しすぎないよう、短期間なら月60時間を超す残業を認める。

 例えば、特定の時期が忙しい企業には1カ月のみ100時間、前後の2カ月は80時間まで残業を認める案を政府内で検討している。こうした場合は他の月で残業時間を減らして調整し、年間で月平均60時間を超えないよう企業に義務付ける。

 電通の女性新入社員が15年12月に自殺した問題では残業時間が月100時間を超えていた。過労死のリスクが高まるといわれる月100時間のラインはどんな場合も超えないようにする。

 上限規制の対象業種も広げる。いまはトラック運転手などの運送業、建設労働者ら一部の職種は除外され、青天井で働き続けられる。政府案では、これらの業種にも規制を適用する。発注者や取引先との関係に配慮し、人材確保などができるまで導入に移行期間を与える。猶予期間の長さは経済界と今後調整する。

 研究開発職など政府が競争力を高めると位置付ける職種では医師との面談や代休の取得を義務付け、上限規制は設けない。公務員に労基法は適用されないが、働き方改革で民間企業と同様に労働時間の圧縮を進める。

 経済界には「繁忙期については配慮してほしい」(経団連の榊原定征会長)と求める声が多い。一方、労働組合側は連合が現状で告示にとどまる月45時間などの上限の法制化を求めている。

日経新聞



















【2017/01/28 07:35】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「副作用、チームで絶つ」オプジーボの専門医ら結集
2016年。日本の医療現場は「オプジーボ」などがん免疫薬に席巻された。ただ、効果が高い半面、副作用についてはいまだつかみきれないのが実態だ。「ならばあらゆる副作用に備えよう」。医療現場ではチームを組み患者をフォローする試みが始まった。最前線を追う。

 「なんとなく体がだるいんですよ」――。聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)に48歳の男性患者から連絡が入ったのは16年の3月11日のことだった。

 連絡を受けた呼吸器内科の医師はこの異変の芽を見逃さなかった。「おかしい」。いったん帰宅していた患者に翌日すぐに来院するよう指示した。

 呼吸器内科の医師は病院内でも動いた。速やかに免疫チェックポイント阻害薬の副作用対策チームのメンバーに連絡、受け入れ体制を整えるよう要請した。

■「総合力が必要」

 病院の総力をあげてのバックアップ。この男性患者はオプジーボによる治療を続ける肺がん患者だった。代謝・内分泌内科の医師が診ると血糖値が高いことが分かった。これが男性患者が訴えた「だるさ」の原因だった。劇症型に近い糖尿病を発症していたのだ。

 男性患者は緊急入院となった。血糖値をコントロールするためにインスリンの投与を続けると症状も落ち着き始める。

 もともとこの男性患者は聖マリアンナとは別の病院の患者。肺がんを患い抗がん剤治療を受けていたが、際だった改善効果が表れなかった。

 そこでオプジーボで実績のある聖マリアンナを紹介された。今年2月下旬からオプジーボによる治療を開始、その後病状は安定していた。

 ただ今回、その肺がんとは全く関係のない場所で異変が生じた。膵臓(すいぞう)だ。糖を分解するインスリンの分泌がうまく行かずに血液中の血糖値が異常にあがってしまっていたのだった。緊急入院から約2週間後にはオプジーボの投与を再開、4月中旬には紹介元の病院に戻った。

 男性患者の危機を救ったのは専門チーム。免疫薬投与による副作用に備えるため15年6月に結成された。総数は十数人だ。メンバーは腫瘍内科、呼吸器内科、皮膚科、消化器内科、眼科といった医師に加え看護師や薬剤師などで、この専門家集団を「スーパーバイザー」として臨床腫瘍学講座の中島貴子教授が束ねる。



 今のところオプジーボ投与による「重篤な副作用が起きるケースはごくまれ」(中島教授)。しかし「これまでの抗がん剤を投与した場合とは全く別のことが患者に起こる可能性があることが分かった。これに対応するには総合力を持つチームが必要」と話す。

 臨床試験(治験)を除くと、今秋までに同病院でオプジーボとヤーボイのがん免疫薬を投与した患者の数は42人。この間、チームに対して23回の相談があった。最も多かったのは糖尿病関連で10回。肝機能障害、皮疹、肺炎などもある。ただ、重篤な副作用は現段階では少ないという。

 病院内で免疫薬に対しての勉強会も定期的に開き、経験や知識を共有するよう積極的な取り組みも進めている。

 「この場合、どのような治療法が適切だろうか」

 「治療薬の前にまず抗体を測定した方がいいのでは」――。九州大学病院の会議室。毎月1度、治療や検査に対する活発な議論が飛び交う会議が開かれる。

 参加者はいずれも専門分野が異なる診療科のメンバーたち。神経内科、呼吸器、消化器、がん、糖尿病といった複数の診療科から医師、薬剤師、看護師らが50~60人集まる。

 医療チームの名称は「チームiCI」。今年1月、九大病院が立ち上げた。オプジーボの適正使用が目的で、患者への説明や投与スケジュール、それに副作用への対応を担う。発起人の1人である中西洋一主幹教授は「がん治療にあたる医療従事者にとって、何より防がなければならないのが副作用による患者の死だ」と強調する。

 腸炎が起きている場合に考えられるリスク、抗菌薬の決め方、糖尿病を発症しかけている場合の前兆のつかみ方……。特に心不全、不整脈、高体温などをともなう致死的な免疫副作用「クリーゼ」をどうやって防ぐか。医師だけでなく看護師、薬剤師、患者を交えて常に情報共有を欠かさない。

 月に1度は定例の対策会議を開きオプジーボによる副作用の死者を減らす取り組みを続ける。

■マニュアル提供

 今秋にはオプジーボの治療の治療開始前の検査項目、リスク、判定手法などを独自にマニュアル化した。血液、免疫、ホルモンなどの状況を数値化し、疑いのある副作用の項目を設定する。副作用が起きた際、重症度合いによってどんな対処や治療をすべきか、医師が一目で分かるようにした。

 同様のマニュアルを分かりやすい表現に書き換え患者向けにも提供する。患者に自覚症状を書き込んでもらったうえで、医師や看護師、薬剤師などが一体となり患者も含めた新たな「チーム」で副作用対策を考え、他の医療機関などにもマニュアルなどを提供する。全国レベルで副作用対策、情報共有を進める計画だ。

 一般的な抗がん剤の場合、脱毛や吐き気、下痢のほか、肺の間質という部分が炎症を起こす間質性肺疾患などの副作用が起きることが分かっている。

 しかしオプジーボは何が起きるかはっきりしない。重症筋無力症、劇症1型糖尿病……。まだまだ未知の分野が多い。その白地をこれからどう埋めていくのか。チームの「和」の力が試されている。


[日経産業新聞2016年12月28日付]














【2017/01/02 05:22】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
パート減税、年収150万円まで配偶者控除と同額 財務省検討
財務省はパート主婦が年収103万円を超えても働きやすくするため、年収150万円以下まで配偶者控除と同額の減税枠を適用する案の検討に入った。11日、政府内で調整を始め、近く与党に示す。配偶者控除は夫(世帯主)の年収1220万円以下(所得1000万円)の世帯に制限する。こうした案を与党の税制調査会で検討する。

 2017年度税制改正での実現を目指す。配偶者控除を巡っては当初、廃止案も浮上したが、専業主婦世帯などの反発を警戒し撤回した。

 年収103万円以下の妻(配偶者)に所得控除額38万円を適用する配偶者控除は減税の仕組みを維持する。103万円を超えて150万円以下までは38万円の控除を適用し、150万円を超えたら徐々に控除額を縮減する。141万円まで控除額を縮減して適用する配偶者特別控除をさらに拡大する形をとる。

 パート主婦が就労調整の目安とする「103万円の壁」を見直し、就労時間を増やしてもらう。パート主婦の6割は年収100万円未満。企業の配偶者手当は103万円以下を基準にすることが多く、政府は税制改正とあわせた見直しを求める。

 財務省は減税幅が変わる複数案を検討し、与党税調との調整を急ぐ。年収130万円以下にする場合は、配偶者控除の年収制限の基準は1220万円より高い年収で設定する。年収150万円から拡大する場合は、厳しい年収制限を導入する。


日経新聞














【2016/11/12 06:23】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
病気離職防ぐ職場を 首相「仕事と治療を両立」 働き方改革で会議
政府の働き方改革実現会議は24日、第2回の会合を開いた。がんや難病になっても仕事をやめないで済む環境の整備や、テレワーク(在宅勤務)、兼業・副業といった「柔軟な働き方」の促進を議論した。会議に出席した安倍晋三首相は「一人ひとりのライフステージにあった仕事の仕方を選択できる社会をつくり上げたい」と述べ、具体策の検討を指示した。


働き方改革実現会議の会合であいさつする安倍首相(24日午後、首相官邸)

 この日のテーマは(1)テレワークや副業・兼業などの柔軟な働き方(2)多様な選考・採用機会の提供(3)病気治療と仕事の両立(4)働き方に中立的な社会保障制度(5)女性が活躍しやすい環境整備――の5つ。首相は特に「病気治療と仕事の両立に力を入れる」と訴えた。

 がん患者のうち、3割以上が依願退社や解雇により仕事を続けられていないという調査もある。病気治療と仕事を両立しやすくなれば、本人の経済的な自立を助けるだけでなく、企業にとっても働き手を失わないで済むようになる。

 厚生労働省は今年2月に病気治療と仕事の両立を後押しする企業向けのガイドラインを公表した。専門家の意見なども踏まえ、主な病気ごとに作り直す考えだ。

 実現会議の委員の一人で、自らもがんの治療を受けている女優の生稲晃子氏は会議で「主治医、会社、産業医・カウンセラーのトライアングル型のサポート体制」が必要と提言した。



 厚労省は独自の支援策を提示した。患者の相談窓口を拡充したり、企業と医療機関の連携を強化したりするといった対策が柱となる。

 テレワークや兼業・副業も議題となった。首相は「副業・兼業は(外部の技術やアイデアなどを研究開発に生かす)オープンイノベーションや起業の手段としても有効だ」と強調した。

 日本では社員の副業や兼業を就業規則で禁止したり、制限したりしている企業がほとんどだ。社員は勤め先に縛られて、個々の能力を生かし切れていないとの指摘もある。首相は副業や兼業の普及に向け、ガイドラインの策定も含めた政策を検討する考えを示した。

 ただ、自分の会社の仕事に専念してほしい経済界からは慎重な意見も漏れた。経団連の榊原定征会長は会議後の記者団の取材に対して「どんどんやってくださいという立場ではない」と語り、積極的な政府との温度差が浮き彫りとなった。

 兼業・副業の促進に向けては、経済産業省が課題を議論するための研究会を設置した。有識者を交えて年度内に考え方をまとめる。企業向けのガイドラインを作る案も出ているが、まずは課題の整理や望ましい制度のあり方の議論を優先する。

 課題は実効性だ。兼業・副業の促進をめざす指針には法的拘束力がなく、最終的には企業の自主性に委ねられる。

 政府は法改正や新法をいまのところ検討していない。企業側が利用しやすい指針にするとともに、積極的に自社の就業規則に採り入れるように促す考えだ。

 今回の会議では委員同士で意見が割れない議題を集中的に採り上げた。同一労働同一賃金や長時間労働の是正など、労使で意見の食い違いが大きい議題は次回以降に議論する見通しだ。


日経新聞














【2016/10/25 06:21】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
スイスと英製薬大手 オプジーボ陣営に対抗 免疫革命、がんは消えるか
免疫細胞のブレーキ「PD―1」ががん細胞に踏まれないようブロック、人が持つ免疫の力を最大限引き出す免疫チェックポイント阻害薬(免疫薬)。小野薬品工業のオプジーボはその代表格だが、それだけではない。ブレーキを踏むがん細胞の足である「PD―L1」の動きを封じ免疫力を引き出す薬剤の研究も急ピッチで進む。日本でも早ければ2年後に登場する可能性が出てきた。


ロシュグループは、抗PD―L1抗体の承認取得で世界の先陣を切った(中外製薬の富士御殿場研究所、静岡県御殿場市)

 「抗PD―L1抗体は(大型新薬で年1000億円以上を売り上げる)ブロックバスターになりうるし、当然そのようにしなければ」。中外製薬の永山治会長兼最高経営責任者(CEO)はこう自信をみせる。

 スイス製薬大手のロシュグループと共同で開発を進めている「テセントリック(日本での製品名は未定、一般名アテゾリズマブ)」は米食品医薬品局(FDA)から今年5月、抗PD―L1抗体では世界で初めて、ぼうこうがんを適応症として承認を受けた。さらに10月18日には肺がんの約8割を占める非小細胞肺がんでも承認を取得した。

 アテゾリズマブは複数の国・地域で同時に実施する臨床試験(治験)である国際共同治験という方式で開発を進めている。治験で出てきたデータは国際基準を満たしているため、世界の主立った国で製造販売の承認を求める場合、どこででも利用できる。

 日本でもこの治験のデータをもとに2017年に非小細胞肺がんとぼうこうがんへの適応で承認を申請する予定だ。肺がんは単剤とほかの抗がん剤との併用の両方、ぼうこうがんでは単剤での治験を進めている。

■同時に12の治験

 一般的に承認申請から取得までの期間は1年程度の場合が多く、国内での発売は18年ごろになる可能性がある。18年には腎がんや乳がんでの承認申請も計画している。開発後期段階だけで、日本ではアテゾリズマブで12もの治験が同時に走っている。こんな状況は初めてといい「期待は大きい。これまでのがん治療を大きく変える可能性を持つ」と小坂達朗社長は解説する。


 ロシュが10月9日に欧州臨床腫瘍学会で発表したテセントリックの非小細胞肺がんの患者を対象にした第3相治験では、免疫細胞のブレーキを踏むPD―L1の発現状況にかかわらず化学療法を上回る生存期間の延長を示した。今後の研究でその理由は解明されていくようだが、基本的には発現率の高い患者の方がより高い効果を期待できる。そのため、あらかじめ発現率の高い患者を絞り込むための診断薬の開発も急ぐ。

 がんの免疫薬では年間3500万円というオプジーボの薬剤費が話題となり政府の方でも検討が進む。ロシュグループでの診断薬を使って「効く人を識別できれば、薬剤費の抑制にもなる」(永山会長)。

 オプジーボやキイトルーダを免疫細胞のブレーキに働きかけるPD―1陣営と呼ぶとすると、それを踏むがん細胞の足の動きを封じるPD―L1陣営にはロシュ以外にも世界の有力製薬会社が名を連ねる。

 その1社が英アストラゼネカだ。抗PD―L1抗体「デュルバルマブ(一般名)」を開発しており、治験の最終段階の第3相にあるが、その特徴はもう一つの免疫チェックポイント阻害薬である「抗CTLA―4抗体」と同時に開発し、併用に軸足を置いていることだ。

 抗CTLA―4抗体といえば免疫機能へのブレーキを解除する仕組みで、すでに実用化されている米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)の「ヤーボイ(一般名イピリムマブ)」で知られる。アストラゼネカが開発している抗CTLA―4抗体は「トレメリムマブ(一般名)」だ。

 抗がん剤治療で最初に投与する1次治療で非小細胞肺がんを適応にした両がん免疫薬候補を併用する国際共同治験を進めている。この適応では順調に行けば日本で18年春~秋にも発売できる可能性がある。このほか、同じ非小細胞肺がんで3次治療、ぼうこうがん、頭頸部がんなどでの複数の治験も実施している。

■売上高は急増

 独製薬大手メルクと米ファイザーもPD―L1陣営で、開発中の「アベルマブ(一般名)」は日本でも胃がんや非小細胞肺がん、ぼうこうがんなどで治験の第3相にある。抗PD―L1抗体の仕組みに加えて、分子構造上の特徴で、がん細胞に目印を付けて、免疫細胞を集めて攻撃しやすくするADCCと呼ばれる機能もあると期待されている。


 これまでの抗がん剤の勢力図を変える勢いのがん免疫薬。抗PD―1抗体と抗PD―L1抗体について中外の永山会長は「どちらが良いというのはまだ分からないが、今までの臨床研究データをみているといい勝負」と分析する。

 英調査会社のエバリュエートによるとPD―1陣営のオプジーボの年間売上高は15年は全世界で11億1900万ドル(約1150億円)だったが22年には146億3400万ドルまで増え、抗がん剤市場の頂点に上りつめると予想する。年率44%という驚異的な伸びだ。

 PD―L1陣営では、ロシュグループのテセントリックは現状で売り上げはないが、22年に53億3100万ドルと予測されている。がん免疫薬は今後、実際に患者に使われる中で予期せぬ重篤な副作用が発症する可能性もある。とはいえ、先に市場に出した方がシェアを握れるとあって、各グループの陣取り合戦がこれからさらに激しくなりそうだ。

■先行2剤 併用療法試す

 米メルクやスイスのロシュグループに追い上げられる小野薬品工業。切り札に選んだのが、オプジーボの共同開発の相手であるブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)との連携強化だ。BMSはオプジーボの先輩格の免疫チェックポイント阻害薬「ヤーボイ」を持つ。その強みを日本市場に引き込みオプジーボとヤーボイの2剤で悪性黒色腫(メラノーマ)などを治療する臨床試験を進める。

■信頼感が違う

 「免疫チェックポイント阻害薬の分野で、先行するうちと他社では信頼感がまるで違う」。BMSのメディカル・開発部門の高橋暢男氏はこう語る。確かに「『免疫薬=BMS』との連想は働きやすい」(医療関係者)。

 2014年7月、小野薬品が悪性黒色腫(メラノーマ)でオプジーボの製造販売の承認を日本で取得して以来、同社の名前も有名になりつつあるものの、年季からすれば免疫チェックポイント阻害薬と言えばBMSだ。

 BMSが米国でヤーボイの製造販売の承認をとったのが11年3月。メラノーマの治療が対象だったが、これが世界で初めての免疫チェックポイント阻害薬の実用化となった。「免疫チェックポイント阻害薬を使った治療のデータの蓄積、副作用が発生した場合の対処方法などこの5年間で得た知見は相当なものがある」(高橋氏)

 小野薬品はヤーボイで先行するBMSとの連携強化こそ日本市場での存在感向上の近道とみる。小野薬品とBMSはオプジーボを共同開発、日本市場での販売で連携するが、ヤーボイでも同様にその可能性を探る。メラノーマや肺がんなどでオプジーボとヤーボイの2剤を使った臨床試験で他社をリードする。

■単剤と比べ2倍

 オプジーボとヤーボイの併用療法の効果の高さについては世界各国の医療機関ですでにいくつかのデータが出ている。今年6月4日、米国臨床腫瘍学会で発表された試験結果では、非小細胞肺がんでPD―L1が「陽性」の患者では、併用による奏効率が57%。オプジーボ単剤と比べて2倍の患者に効いたことになる。しかもPD―L1が「強い陽性」に限ると、92%にも上ったという。


 オプジーボもヤーボイも働きかけるのは免疫細胞だが、それぞれ別の部分に作用する。オプジーボは免疫細胞の「PD―1」というブレーキペダルをがん細胞が押すのを防ぐ。これに対してヤーボイは同じく免疫細胞の「CTLA―4」という別のブレーキペダルに作用する。

 CTLA―4はPD―1と同じブレーキペダル。ただ、PD―1は、がん細胞が免疫細胞の攻撃をかわすために押すブレーキであるのに対してCTLA―4は正常な「抗原提示細胞」と呼ばれる細胞があまり免疫細胞が活性化しすぎないようバランスをとるために押すブレーキだ。

 抗原提示細胞はいわば司令塔の役割を果たす細胞。免疫細胞が攻撃すべきがんの情報を免疫に伝達、そのうえ免疫細胞を元気づけてがん細胞を攻撃させる。

 しかし、免疫細胞が一定程度働けば抗原提示細胞は免疫細胞にブレーキをかける。このブレーキがCTLA―4だ。免疫細胞が攻撃し過ぎて、がん細胞以外の健康な組織まで傷めてしまわないようヒトが持ついわば本能だ。

 免疫細胞のブレーキであるCTLA―4を作動させてしまうと、いくらオプジーボによって、もう1つのブレーキであるPD―1をブロックしても免疫細胞の攻撃力は半減する。

 このため、オプジーボとヤーボイの両方を投与することで免疫細胞が持つPD―1とCTLA―4という2つのブレーキが押されないようにブロック、免疫細胞が持つ外敵に対する攻撃力を最大限に高める。オプジーボとヤーボイの2枚看板がそろえば小野薬品―BMS連合は縮まりつつある後続組をまた大きく引き離すことが可能になる。

 ただ併用する分、副作用が発生するリスクは高まることも事実。併用はもろ刃の剣でもあることを忘れてはならない。


[日経産業新聞2016年10月20日付]














【2016/10/24 06:27】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「オプジーボ」に続け 米メルクが対抗薬を開発 免疫革命、がんは消えるか
人が持つ免疫の力を呼び戻すことでがんを治療する免疫チェックポイント阻害薬市場。小野薬品工業の「オプジーボ」に続き、外国勢が参入準備に入った。筆頭格は米製薬大手メルク。同社が開発を進める「キイトルーダ」は治療の初期段階から効果が認められ、対象患者数も増える見通し。がん患者にとってはまた1つ有力な選択肢が増える。

■年内にも日本に


新薬開発を行っている米メルクの研究所(マサチューセッツ州)

 9月9日、メルクの日本法人であるMSDの社内に、その吉報は届いた。

 内容は「『キイトルーダ』が厚生労働省の審査を通過した」というもの。オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本隆司氏は「ようやくここまでこぎ着けた。オプジーボに匹敵する大型新薬の開発成功に身震いした」と振り返る。

 9月9日に届いた「キイトルーダの製造販売の審査通過」は同月28日には正式承認に変わり、今後、薬価決定などの手続きを経て発売に至る見通し。早ければ年内にも日本の医療現場にオプジーボに次ぐ免疫チェックポイント阻害薬が登場する。二隻目の箱舟は米国からやってくる。

 今でこそ、がん治療の最前線に躍り出た免疫薬だが「2011年にキイトルーダが米国で臨床試験を始めた頃は、懐疑的な見方が強く注目されなかった」(嶋本氏)。日本でも臨床試験を始めてはいたが、話題になることはほとんどなかった。

 ところが13年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)での発表が流れを変える。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアントニー・リーバス教授が「キイトルーダが、悪性黒色腫の患者に高い奏功率を示した」とのデータを発表したのだ。

 奏功率とは薬剤の投与などによりがんの組織が消失、または明らかな縮小が見られた患者の割合のこと。その奏功率が従来型の抗がん剤ではせいぜい5~15%だったが、それがキイトルーダを投与した悪性黒色腫の患者では40%近くにまで上昇したという。

 「いける」――。衝撃的な数字にメルク上層部もこう判断、世界各地で一気に開発を加速させた。臨床試験の受託会社を通じて世界各地の病院にキイトルーダを配布、次々と臨床試験を開始した。

 そして臨床試験開始からたった3年で米国での承認までこぎ着けた。通常、医薬品の承認には臨床試験開始から5~10年かかることを考えれば異例のスピードだ。今では30種類超のがんに対し、350本に上る臨床試験が並行して走っている。

■薬代減る可能性

 もっとも現時点では世界的に見ればオプジーボの方が優勢だ。16年1月~6月の全世界の売上高はオプジーボが15億4400万ドル(約1606億円)なのに対してキイトルーダは5億6300万ドル(約586億円)にとどまる。オプジーボは全世界のがん免疫薬市場の7割以上を押さえてしまっている。

 今後、オプジーボの牙城をキイトルーダがどう切り崩すか。注目されるところだ。

 仮にキイトルーダが日本市場で一定のポジションを確立することに成功すれば、いずれキイトルーダとオプジーボの間での競争が始まる。

 そうなればまず製薬会社が病院への納入を増やそうと卸値を引き下げることは必定。値下げ競争が常態化すると厚生労働省は薬価調査で割安な価格が実勢価格と判断する。2年に1回の薬価算定の際に割安な卸値が反映され、公定薬価の引き下げにつながる。現在、体重60キログラムの人で年間3500万円かかるとされる薬剤費も競争により下がる可能性も出てくる。

 では、そもそもキイトルーダはどんな薬なのか。

 「現時点で、薬の効果や安全性に大きな違いはないといえる」。帝京大学医学部腫瘍内科診療科長の関順彦氏はこう説明する。

 実はキイトルーダとオプジーボは、仕組み自体は大きく変わらない。がん細胞は免疫の攻撃をかわすため、免疫の動きを止めるPD―1というブレーキを踏む。これをブロックして、がんがブレーキを踏めなくする点では、キイトルーダもオプジーボも同じだ。

 違いがあるのは使用法だ。大きく分けて3つポイントがある。(1)オプジーボに比べキイトルーダの方が患者の通院回数が少なくてすむ(2)事前検査が必要のないオプジーボに対しキイトルーダは必要になる見込み(3)単剤で比較した場合、肺がんの治療薬としてオプジーボは最初から使えないのに対して、キイトルーダは効果が認められ使える――だ。



 ▼キイトルーダ
 米製薬大手のメルクが開発した免疫チェックポイント阻害薬。小野薬品工業のオプジーボと同じ「PD―1」という物質に作用し、患者の免疫を活性化してがんを治療する。もともとは米製薬シェリング・プラウが保有していた開発候補物質で同社を買収したメルクがこれを引き継いだ。
 米国ではオプジーボよりも3カ月早く登場、2014年9月に悪性黒色腫(メラノーマ)に対して承認された。その後、非小細胞肺がん、頭頸部がんへと対象を広げ、日本でも患者数が多い乳がんや胃がんなどでも臨床試験を実施、米国と同じように日本市場でも参画のタイミングを計っていた。

■初期段階から投入可能

 まず(1)の「通院回数」だが、キイトルーダとオプジーボでは薬を投与される患者の通院回数が異なる。薬の投与間隔がキイトルーダが3週間に1回なのに対してオプジーボは2週間に1回。キイトルーダの方が患者の負担は軽い。

 (2)の「事前検査」だが、これはキイトルーダ投与の条件になる見通し。悪性黒色腫の場合はキイトルーダもオプジーボも事前検査は必要はないが、非小細胞肺がんは、キイトルーダには事前検査が必要となるもよう。

 事前検査は「PD―L1」が「陽性」か「陰性」かというもの。PD―L1はいわば、がん細胞側の足で、これが免疫細胞のブレーキを踏む。キイトルーダは、このがん細胞の足であるPD―L1の有無を調べ、「足が見えた」ことが確認された患者にだけ薬を投与する形になる。

 特に年内の承認が見込まれる肺がんの「2次治療」、つまり1度他の抗がん剤を試した患者に投与する場合、キイトルーダはPD―L1が検出できた肺がん患者でしか使用できない見込みだ。検査なしで使用できるオプジーボと異なる。

■事前検査、浸透の課題に


米メルクの研究所内では最先端の設備で新薬開発を行っている(ニュージャージー州)

 こうなると、キイトルーダは日本の医療現場では浸透しにくい。PD―L1が「陽性」の肺がん患者は60~70%ほど。30~40%の患者には投与したくても投与できない。

 しかも「陰性」の患者にキイトルーダが100%無効かと言えば、必ずしもそうではない。事前検査により本来、救える患者を振り落とす可能性もある。

 さらに、この検査は患者への負担が大きい。肺に針を刺してがん組織を採取するため「体力のない患者に負担を強いる」(呼吸器外科医)という現場の声は大きい。

 ただ、帝京大学医学部腫瘍内科診療科長の関順彦氏は「患者の治療戦略を立てる上で、本来はがん免疫薬は事前検査をした方がよい」と語る。

 理由は2つある。1つはキイトルーダやオプジーボなど免疫薬を使用して効かなかった患者は単に効かないだけでなく逆にがんが進行しやすい傾向があるからだ。免疫薬を使うと従来型の抗がん剤治療はストップするため、野放しになったがんが増殖してしまうのだ。

 もう1つは、がん免疫薬の使用直後は、これまでがんの治療で効果が高いエース級の薬とされてきた「イレッサ」や「タルセバ」などを使用しにくくなることだ。ふたつの薬はいずれも分子標的薬で、がんを見つけ出して攻撃する薬。免疫薬を使った後にイレッサなど分子標的薬を投与すると間質性肺炎などの副作用を引き起こしやすくなる。

 (3)の投与のタイミングだが、キイトルーダは治療の初期段階から投入できる。肺がんの場合、キイトルーダは抗がん剤治療の初期で投入しても効果があることが臨床試験で正式に確認されている。この点は初期段階で投与しても劇的な変化が見られなかったオプジーボとは決定的に異なる。

 関氏は「PD―L1が『強い陽性』の患者では、1次治療でも従来の抗がん剤に比べてキイトルーダが効くことが明らかになった。効いた患者では長期にわたり他の抗がん剤治療が不要になる可能性が高まる。抗がん剤治療を始める最初の段階(1次治療)でPD―L1検査をして、キイトルーダを使う意味は大きい」と話す。

■肺がん1次治療で明暗

 10月上旬、欧州臨床腫瘍学会がデンマークのコペンハーゲンで開催された。世界中のがん専門医師など2万人以上が集まった。

 会場となった大会議場「ベラセンター」でひときわ盛況だったのは、がん免疫薬のシンポジウムだ。中でも米メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」の臨床試験結果には関係者が注目した。非小細胞肺がんの1次治療、つまり抗がん剤治療の最初の段階からキイトルーダを使用、良好な成績だったという内容でその詳細なデータが発表された。

 一方、オプジーボは8月の小野薬品の株価急落の元凶となった、肺がんの1次治療で失敗した臨床試験の詳細を発表した。キイトルーダが成功した条件でオプジーボは失敗。明暗がくっきりと分かれた形だ。

 またキイトルーダを米イーライ・リリーの分子標的薬「アリムタ」、プラチナ製剤と呼ばれる抗がん剤の二剤と併用した場合の奏効率は55%。これはオプジーボが別の免疫チェックポイント阻害薬「ヤーボイ」との併用療法で出した数字に匹敵する結果だった。


[日経産業新聞2016年10月19日付]














【2016/10/23 06:42】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
年金、新ルールで3%減 05年度から10年適用なら 厚労省試算
厚生労働省は17日、政府の国民年金法改正案に盛り込んだ年金給付抑制の新ルールが過去に適用されていたと仮定した場合の給付額の試算を公表した。もし2005年度から10年間適用されていたら、基礎年金の給付額は3%減っていたという。一方で年金給付の抑制が進むため、現役世代の基礎年金額は7%程度増えると試算した。

 試算は改正法案を「年金カット法案」と批判している民進党が求めていた。厚労省は改正法案の国会審議を進めるために試算を公表したとみられる。同省は同日、「過去に新ルールを適用したと仮定した場合の試算であって、実際に年金額が減るわけではない」と強調した。

 現在のルールでは賃金が物価よりも大きく下落した場合、下落幅が小さい物価にあわせて支給額を決める。21年度から導入される新ルールでは、賃金の下落幅が物価の下落幅よりも大きければ支給額は賃金の下げ幅に合わせて減る。賃金の下落によって現役世代の保険料負担の能力が減れば、給付額も減らすべきだという考え方に基づく。

 試算によると、新ルールが仮に05年度から適用されていれば、今年度の基礎年金額は3%(月2千円)減る。一方で給付の削減が早く進むため、現役世代の将来の基礎年金額は新ルールを導入しなかった時と比べて7%程度増えるとした。厚生年金がどの程度増えるかについては「焦点は基礎年金で試算にも時間がかかる」(厚労省)とし、今回は実施しなかった。

日経新聞














【2016/10/18 06:49】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
抗がん剤治療の存命年数、緩和ケアと比較 経産省など、患者800人生存年数調査
国立がん研究センターと経済産業省は、高齢の患者に対する治療について、薬剤など治療法の違いでどれくらいの延命効果があったかを比べる検証を始める。抗がん剤を積極的に使った場合と、苦痛を和らげる「緩和ケア」に重点を置いた場合を比較。治療法による存命年数の差異などを客観的にとらえ、患者の容体や費用対効果に見合った適切な治療法を探る。



 調査結果は年内にも公表する。2008年度以降に、がんセンターに入院したおよそ800人のがん患者が対象だ。年齢は65歳以上で、手術などの後、抗がん剤、もしくは緩和ケアに重点を置いた場合にそれぞれどのくらい存命できたかを比較する。肺がんや乳がんなどがんの種類別や年齢別に分類する。

 調査費用は医学分野の基礎研究などの司令塔として15年に発足したAMED(日本医療研究開発機構)の研究費でまかなう。経産省はAMEDに参加し、医療の質向上や産業育成にも重点的に取り組んでいる。

 抗がん剤はがん治療に効き目を発揮する一方、痛みや吐き気といった副作用を伴うこともある。高齢者はがん以外の病気を持つ場合もあり、抗がん剤の副作用で体力が落ちることがある。

 一方、緩和ケアで患者の苦痛を減らすことで飲食など日常に近い生活を送れるようになって回復につながるとの指摘もある。米国の研究では、末期のがん患者に対して緩和ケアを積極活用した治療の方が延命効果が認められるといったデータも得られている。

 日本では治療実績などの情報開示がなかなか進まず、高額な薬剤がそれに見合うだけの延命効果をもたらしているか、などを判断する基礎的なデータがそろっていない。日本の当局内でも本格的な比較検証が欠かせないとの声があがっている。

 治癒のデータはこれまで5年生存率で比較されるのが通例。経産省によると、抗がん剤と緩和ケアに分けて存命年数を大規模に検証した事例もこれまでにないという。

 今回はまず存命年数についてデータを集めるが、来年以降は患者の感じる痛みや、日常に近い生活が送れるかといったQOL(生活の質)の違いも調査対象とする方針だ。

 厚生労働省によると、14年度の国民医療費は前年度比1.9%増の40兆8071億円となり、8年連続で過去最高を更新した。抗がん剤は「オプジーボ」など高額な薬品の取り扱いも議論になっている。同省は高額化の一途をたどる医療費の効率化に向け、抗がん剤などの高額薬についても費用対効果を厳しく見極め、適切な投薬などを促していく姿勢を示している。

 そうした判断の基礎となるデータを集める上でもがんセンターと経産省の取り組みは試金石になるが、医療関係者らの間では情報公開に慎重論も強く、同様の動きをどこまで広げられるか不透明な面もありそうだ。


日経新聞














【2016/10/10 06:22】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
超高額抗がん剤、薬価下げ 17年度に臨時改定
厚生労働省は超高額の抗がん剤オプジーボの価格を2017年度に臨時で引き下げる方針を固めた。5日に開く中央社会保険医療協議会(中医協)で引き下げの議論に入る。今の価格から最大25%程度下げることを検討する。オプジーボは効果が高い一方、体重60キログラムの成人が1年間使い続けると約3500万円かかる。臨時値下げで医療費の膨張を抑える。

 オプジーボは今年4月の財政制度等審議会で仮に肺がん患者5万人に1年間使うと1兆7500億円かかるとの試算が示され、超高額薬の象徴となっていた。厚労省は財政に与える影響も大きいと判断、臨時で薬価を引き下げる方針を決めた。

 薬の価格は国が決定権を持つ。見直しは2年に1度が原則で、次は18年度に予定する。過去に消費増税に伴い臨時改定したことはあるが、1つの薬剤での対応は異例だ。

 5日の中医協では企業の見通しを上回って売れた超高額薬の価格を引き下げるルールをもとに議論する。「市場拡大再算定」と呼ばれ、例えば年間販売額が1000億~1500億円以下で予想販売額の1.5倍以上売れた薬は最大25%値下げする。

 オプジーボは小野薬品工業が製造・販売している。年間売上高が1000億円台前半になる見通しで、これをどう当てはめるかが焦点だ。5日以降、議論して11月には引き下げ率を決める。

 オプジーボは体内の免疫細胞に作用し、人間が持っている異物を排除する能力を高めてがんを治療する新しい抗がん剤だ。本庶佑・京大名誉教授の研究がもとになっている。

 14年に皮膚がんの一種の悪性黒色腫(メラノーマ)に初めて保険適用した。当初見込んでいた患者数は470人と少なく、薬価を100ミリグラム当たり73万円に設定した。この価格のまま15年末に肺がん患者の8割を占める非小細胞肺がんにも保険適用され、予想販売額が1260億円に膨らんだ。本来は16年度に改定するはずが、間に合わず、価格が当初のまま据え置きになり、17年度に臨時で対応するよう求める声が上がっていた。

 厚労省によると、15年度の概算医療費は41.5兆円。前年度から3.8%増えた。薬代などを含む「調剤」が9.4%伸びた影響が大きかった。


日経新聞














【2016/10/04 06:12】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
介護休業取得で1人40万円 企業向けに助成金 厚労省、年内導入めざす
厚生労働省は介護を理由にした離職を防ぐため、企業向けの助成金を新設する。1カ月以上の介護休業の取得で1人当たり40万円を事業主に支給。介護のために3カ月以上残業を抑制するなどしたケースでも、1人当たり20万円を支給する。介護離職者は年間10万人いるとされており、厚労省は年内の導入をめざす。

 助成金の名称は「介護離職防止支援助成金」。出社時間をずらせる仕組みや残業時間の制限といった、従業員の介護の負担を和らげるための支援策を取り入れている企業が対象。介護休業を取得する従業員向けに支援計画を作ることも求める。

 介護休業を1カ月以上取得して復帰した場合、1人当たり40万円を支給する。中小企業には60万円と手厚くする。介護のための深夜勤務や残業の制限などの勤務制度を3カ月以上利用した場合も1人当たり20万円を配る。中小企業向けは30万円。1企業につき、最大従業員4人まで助成する。

 介護を理由にした離職は企業にとっても大きな痛手だが、介護休業の取得率は3%程度にとどまる。中小零細企業の中には介護休業の規定がない社もある。厚労省は助成金の創設で、企業に介護と仕事の両立に一段と配慮するよう促す。


日経新聞















【2016/10/03 06:13】 | クリニック人事コンサルティング情報 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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