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ハンディやルール… ここが変だよ、日本のゴルフ
英国人貿易商アーサー・ヘスケス・グルーム氏が1901年、神戸市の六甲山に4ホールのゴルフ場をつくってから115年。日本は押しも押されもせぬゴルフ大国になりました。現在、国内には約2300強のゴルフ場がありますが、これは米国、英国に次ぐ数字。全世界のおよそ7%のゴルフ場がこの狭い国土にあるというのは驚きですよね。

 日本のゴルフは日本の文化、国民性、社会に対応して独自のスタイルを確立してきました。それは海外でも敬意を持って迎えられている一方で、奇異の目で見られる側面も多々生み出しています。いくつか紹介しながら、これから日本のゴルフが目指す方向を考えたいと思います。

■クラブによって違うハンディの基準

 最初はハンディキャップについてです。多くのゴルファーはハンディキャップといえば、所属しているゴルフコースのいわゆる「クラブハンディ」や、仲間うちで使う「プライベートハンディ」を思い浮かべるでしょう。ロッカールームの入り口に掲げられたハンディキャップボードの上の方に自分の名前があれば、良い気分になるものです。一度でもハンディ4になった人は「自分はハンディ4」とプライドを持っているでしょう。中には年齢を重ねても「絶頂期はハンディ4だった」と昔のハンディを変えないゴルファーもいます。「ハンディを下げたくない人は申し出てください」というクラブもあると聞きます。

 しかし「クラブハンディ」は、あくまでもそのクラブ内でのハンディキャップ、いわば身内だけで通用するハンディです。もちろんクラブの格式など、いろいろな要素はあるものの「同じクラブの仲間でやりたいように決めてください」という性質のものなのです。


ハンディキャップインデックスが普及すれば、ゴルフの楽しみ方がぐっと広がる

 年代や性別に関係なく、いろいろな腕前のプレーヤーが同じフィールドで競えるのがゴルフの特徴であり、最大の魅力です。なぜならば、ハンディキャップのおかげでフェアなゲーム(競技)ができるからです。テニスや野球、サッカーでは、こんなことはできません。他にハンディがあるのはボーリングくらいでしょうか。

 しかし、そのハンディを決める基準(プレーヤーが提出するスコアの質)がクラブごとにばらばらとなると、そのプレーヤーの実力を見極めにくくなります。

 例えばバンカーや池が組み合わされて、複雑なアンジュレーションのグリーンが難しいAカントリークラブのハンディ4の人と、平たんで距離も長くないやさしいBカントリークラブのハンディ4の人が、メンバーでないコースで対戦することになったとします。2人のクラブハンディは同じ4ですが、実力はAクラブの「ハンディ4氏」が上でしょう。では、それぞれハンディをいくつにすれば、フェアなゲームができるのか? これを実現するのがJGA/USGA(日本ゴルフ協会/全米ゴルフ協会)ハンディキャップインデックスなのです。

 インデックスを発行できるゴルフ場や団体に所属するか、JGAの個人会員になり、ゴルフ規則に従ってプレーしたスコアであればインデックス算出に使えます。また取得したインデックスは実際にプレーするコース難易度に応じて変動します。コース難易度はスロープレーティングという数値(最小55、最大155までの整数)で示され、標準的なコースは113と決められています。この数値は同じゴルフ場であっても、ティーの位置によっても異なるので、プレーするコース、使用するティーによって自らのコースハンディを計算できるのです。これによって、インデックスを持っているゴルファーならいつ、誰とでもフェアなゲームが楽しめるわけです。

 インデックスが普及すれば、ゴルフの楽しみ方がぐっと広がります。例えばプロが所属コースでインデックスを取得し、月例会に出場し、アマチュアに混ざって競技に参加することもできますし、異なるコースのメンバーが大勢参加して、普段プレーできないような名門コースを舞台にした大会にも参加できるようになります(実際、米国ではフィル・ミケルソンやタイガー・ウッズが所属しているゴルフ場でインデックスを取って登録しているそうです。プラス7とか8という数字らしいですが……)。

 日本の名門コースでプレーを申し込むと「どなたの紹介ですか」と聞かれますが、海外のコースでは「インデックスをお持ちですか」と聞かれることもあります。インデックスを持っていれば日本だけでなく、海外でも現地ゴルファーとフェアにプレーできます。つまり、ゴルファーのパスポート的な役割・意味も持っているのです。日本国内でもインデックスを持っていれば、日本オープンや女子オープン、シニアオープンにつながるドリームステージにも挑戦できるので、ゴルフの世界が広がるのは間違いありません。


3月の米デル・マッチプレーでプレーする松山英樹=共同

 日本では、まだクラブハンディへのこだわりが抜けきれていないようですが、世界のゴルフ界は確実にインデックスに軸足を移しつつあります。これからはインデックス、つまり世界で通用するハンディを取得して今後のゴルフライフをエンジョイすることが必要なのではないでしょうか。

■「ストロークプレー」に固執しすぎる?

 次に取り上げたいのは「何が何でも自分のボールでホールアウトすることへのこだわり」です。日本のゴルファーは、自分のボールで最後までプレーする「ストロークプレー」に固執しすぎているように思います。欧米ではマッチプレー選手権が行われたり、米欧対抗戦のライダーカップ、米選抜と国際選抜が対戦するプレジデンツカップでは、1つのボールを交互に打っていくフォアサムや、2つのボールでプレーして良いほうのスコアを採用するフォアボールによるマッチが組み込まれたりしています。

 ゴルファーからすると、高いプレーフィーを払っているのに、自分のボールでホールアウトまでプレーできないので消化不良を起こすという事情があるのはわかります。しかし、クラブ競技などではぜひ取り入れてほしいゲーム形式です。

 そこには、まず2人で協力しながら、得意技を生かしてプレーできる面白さがあります。さらに、ライン読みやホール攻略など相談しながら、ボールを打っていく楽しみがあります。普通ゴルフでは相談相手はキャディーしかいませんが、プレーヤー同士チームを組んでプレーする面白さは格別です。普段自分が使い慣れていないボールへの対応力も試されます。

 またフォアサムでは、プレー時間を大幅に短縮することもできます。1ラウンドが3時間程度で終わります。私の見るところ、試してみたゴルファーは皆面白かったといいます。

 ここで強調したいのは「小さい頃からいろいろな競技方法に親しんでいないと世界で通用しない」という点です。日本アマに出てくるような選手でさえ、「フォアサムやったことがないのですが……」という人が多いのでびっくりします。世界を見ると、USGAではフォアボールだけでなく、男女のミックスフォアボール、ミックスフォアサムなども開催されています。

 たとえばミックス競技です。男女が力を合わせて同じ目標を目指すというのは、これからのスポーツで重要な要素です。こうしたプレースタイルはジュニアオリンピックでは採用されているだけでなく、将来の五輪競技候補の一つにもなっているのです。

 他にも、ゴルフにはマッチプレー、スクランブル競技、ステーブルフォード(ポイントターニー)といろいろな競技方法があります。ぜひ、みなさんも一度試してください。今までになかったゴルフの楽しみ方が見つかること、請け合いです。

■前進4打、海外で一様にけげんな表情

 最後はコース上にはびこる奇妙なルールです。スポーツとして、ゲームとしてゴルフの本当の面白さを知るには、プレーヤーは同じルールで競うことが求められます。ルールという制限があるからこそ、ゲームは面白い。もし1チームだけ手を使えたら、サッカーはつまらないボール蹴りになるでしょう。

 ゴルフ場でいえば、ティーショットでOBした際によくある「前進4打」はその代表です。「球はあるがままプレーする」という原則だけでは、OBゾーンにボールが入った時点でゲームが終わってしまいます。しかし、それでは競技としてあまりにも残酷なので、「OBした分のペナルティーを払って、ゲームに復帰してもいいですよ」という考えなのです。つまりペナルティーは救済でもあるのです。

 ゴルフというゲームで距離は重要な要素ですから、元に打った地点よりホールに近い場所から次のプレーが行われるというのは、「距離をズルしている」のと同じになってしまいます。海外から見ると「前進4打」の話を聞くと、一様にけげんな表情をします。「ペナルティーを払えば、距離をズルしてホールに近づける(プレーヤーでなくコースがそう決めている)」というロジックが理解できないからです。日本ではコース内にOBゾーンがあるコースがたくさんありますが、これも海外ではなかなか理解できません。なぜならOBはアウトオブバウンズ、つまりコースの敷地外のことをいってるからです。プレーの進行だけを考えてコースの中にOB杭(くい)を立てることは本来とは違うことなのです。

 「手を使うサッカー」の話をしましたが、ツアーの第一線で活躍するプロと契約するような有名メーカーが高反発規制違反ドライバーを「違反クラブですが」といいながら堂々と販売していることも、海外では奇異の目でみられています。「ドライバーは1ヤードでも人より飛べば気持ちいいじゃない」「競技に出るわけじゃないから堅いこと言わないで」という声が聞こえてきそうですが、それは「競技に出なければ、ルール違反クラブを使ってよい」ということにつながります。また、「ルール違反クラブでも売れればよい」「ズルしてもよいから、ウチのクラブを買ってください」ということになります。スポーツやゲームはルールがあるから面白いのだと思うのです。

 それ以外にもゴルフ場利用税、国家公務員のゴルフ禁止、ハーフを終えての強制的な昼食、何となくおカネのにおいがする会員権、環境問題など、日本のゴルフの「ヘン」はたくさんあります。こうした問題は書き出すときりがないので、今回はゲームに限ってお話しました。

 ゴルフが審判がいなくても成立するゲームです。その理由をルールブックでは、まず冒頭のページで、「ゴルフはフェアプレーを重んじるスポーツであり、ゴルファーはみな誠実で故意に不正をおかす者はいない」と書かれ、また第1章エチケットで「ゴルフゲームはプレーヤーの一人一人が……ゴルフ規則を守ってプレーするというその誠実さに頼っている。プレーヤーは……礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら洗練されたマナーで立ちふるまうべきである。これこそが正に、ゴルフの精神なのである」と説明しています。

 この「ゴルフの精神」から逸脱した奇妙な救済措置や違反クラブを見るとき、「日本のゴルフは100年を超える歴史と伝統を誇る文化だ」と胸を張って世界に宣言できるかどうか。ゴルフ人口減少や男子トーナメント低迷などで「日本のゴルフを何とかしなければ」という機運が高まる中、もう一度考えるべきテーマだと思うのです。



日経新聞

公益財団法人ゴルフ協会専務理事 山中博史












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【2016/05/22 06:09】 | Lets’ゴルフ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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