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スイスと英製薬大手 オプジーボ陣営に対抗 免疫革命、がんは消えるか
免疫細胞のブレーキ「PD―1」ががん細胞に踏まれないようブロック、人が持つ免疫の力を最大限引き出す免疫チェックポイント阻害薬(免疫薬)。小野薬品工業のオプジーボはその代表格だが、それだけではない。ブレーキを踏むがん細胞の足である「PD―L1」の動きを封じ免疫力を引き出す薬剤の研究も急ピッチで進む。日本でも早ければ2年後に登場する可能性が出てきた。


ロシュグループは、抗PD―L1抗体の承認取得で世界の先陣を切った(中外製薬の富士御殿場研究所、静岡県御殿場市)

 「抗PD―L1抗体は(大型新薬で年1000億円以上を売り上げる)ブロックバスターになりうるし、当然そのようにしなければ」。中外製薬の永山治会長兼最高経営責任者(CEO)はこう自信をみせる。

 スイス製薬大手のロシュグループと共同で開発を進めている「テセントリック(日本での製品名は未定、一般名アテゾリズマブ)」は米食品医薬品局(FDA)から今年5月、抗PD―L1抗体では世界で初めて、ぼうこうがんを適応症として承認を受けた。さらに10月18日には肺がんの約8割を占める非小細胞肺がんでも承認を取得した。

 アテゾリズマブは複数の国・地域で同時に実施する臨床試験(治験)である国際共同治験という方式で開発を進めている。治験で出てきたデータは国際基準を満たしているため、世界の主立った国で製造販売の承認を求める場合、どこででも利用できる。

 日本でもこの治験のデータをもとに2017年に非小細胞肺がんとぼうこうがんへの適応で承認を申請する予定だ。肺がんは単剤とほかの抗がん剤との併用の両方、ぼうこうがんでは単剤での治験を進めている。

■同時に12の治験

 一般的に承認申請から取得までの期間は1年程度の場合が多く、国内での発売は18年ごろになる可能性がある。18年には腎がんや乳がんでの承認申請も計画している。開発後期段階だけで、日本ではアテゾリズマブで12もの治験が同時に走っている。こんな状況は初めてといい「期待は大きい。これまでのがん治療を大きく変える可能性を持つ」と小坂達朗社長は解説する。


 ロシュが10月9日に欧州臨床腫瘍学会で発表したテセントリックの非小細胞肺がんの患者を対象にした第3相治験では、免疫細胞のブレーキを踏むPD―L1の発現状況にかかわらず化学療法を上回る生存期間の延長を示した。今後の研究でその理由は解明されていくようだが、基本的には発現率の高い患者の方がより高い効果を期待できる。そのため、あらかじめ発現率の高い患者を絞り込むための診断薬の開発も急ぐ。

 がんの免疫薬では年間3500万円というオプジーボの薬剤費が話題となり政府の方でも検討が進む。ロシュグループでの診断薬を使って「効く人を識別できれば、薬剤費の抑制にもなる」(永山会長)。

 オプジーボやキイトルーダを免疫細胞のブレーキに働きかけるPD―1陣営と呼ぶとすると、それを踏むがん細胞の足の動きを封じるPD―L1陣営にはロシュ以外にも世界の有力製薬会社が名を連ねる。

 その1社が英アストラゼネカだ。抗PD―L1抗体「デュルバルマブ(一般名)」を開発しており、治験の最終段階の第3相にあるが、その特徴はもう一つの免疫チェックポイント阻害薬である「抗CTLA―4抗体」と同時に開発し、併用に軸足を置いていることだ。

 抗CTLA―4抗体といえば免疫機能へのブレーキを解除する仕組みで、すでに実用化されている米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)の「ヤーボイ(一般名イピリムマブ)」で知られる。アストラゼネカが開発している抗CTLA―4抗体は「トレメリムマブ(一般名)」だ。

 抗がん剤治療で最初に投与する1次治療で非小細胞肺がんを適応にした両がん免疫薬候補を併用する国際共同治験を進めている。この適応では順調に行けば日本で18年春~秋にも発売できる可能性がある。このほか、同じ非小細胞肺がんで3次治療、ぼうこうがん、頭頸部がんなどでの複数の治験も実施している。

■売上高は急増

 独製薬大手メルクと米ファイザーもPD―L1陣営で、開発中の「アベルマブ(一般名)」は日本でも胃がんや非小細胞肺がん、ぼうこうがんなどで治験の第3相にある。抗PD―L1抗体の仕組みに加えて、分子構造上の特徴で、がん細胞に目印を付けて、免疫細胞を集めて攻撃しやすくするADCCと呼ばれる機能もあると期待されている。


 これまでの抗がん剤の勢力図を変える勢いのがん免疫薬。抗PD―1抗体と抗PD―L1抗体について中外の永山会長は「どちらが良いというのはまだ分からないが、今までの臨床研究データをみているといい勝負」と分析する。

 英調査会社のエバリュエートによるとPD―1陣営のオプジーボの年間売上高は15年は全世界で11億1900万ドル(約1150億円)だったが22年には146億3400万ドルまで増え、抗がん剤市場の頂点に上りつめると予想する。年率44%という驚異的な伸びだ。

 PD―L1陣営では、ロシュグループのテセントリックは現状で売り上げはないが、22年に53億3100万ドルと予測されている。がん免疫薬は今後、実際に患者に使われる中で予期せぬ重篤な副作用が発症する可能性もある。とはいえ、先に市場に出した方がシェアを握れるとあって、各グループの陣取り合戦がこれからさらに激しくなりそうだ。

■先行2剤 併用療法試す

 米メルクやスイスのロシュグループに追い上げられる小野薬品工業。切り札に選んだのが、オプジーボの共同開発の相手であるブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)との連携強化だ。BMSはオプジーボの先輩格の免疫チェックポイント阻害薬「ヤーボイ」を持つ。その強みを日本市場に引き込みオプジーボとヤーボイの2剤で悪性黒色腫(メラノーマ)などを治療する臨床試験を進める。

■信頼感が違う

 「免疫チェックポイント阻害薬の分野で、先行するうちと他社では信頼感がまるで違う」。BMSのメディカル・開発部門の高橋暢男氏はこう語る。確かに「『免疫薬=BMS』との連想は働きやすい」(医療関係者)。

 2014年7月、小野薬品が悪性黒色腫(メラノーマ)でオプジーボの製造販売の承認を日本で取得して以来、同社の名前も有名になりつつあるものの、年季からすれば免疫チェックポイント阻害薬と言えばBMSだ。

 BMSが米国でヤーボイの製造販売の承認をとったのが11年3月。メラノーマの治療が対象だったが、これが世界で初めての免疫チェックポイント阻害薬の実用化となった。「免疫チェックポイント阻害薬を使った治療のデータの蓄積、副作用が発生した場合の対処方法などこの5年間で得た知見は相当なものがある」(高橋氏)

 小野薬品はヤーボイで先行するBMSとの連携強化こそ日本市場での存在感向上の近道とみる。小野薬品とBMSはオプジーボを共同開発、日本市場での販売で連携するが、ヤーボイでも同様にその可能性を探る。メラノーマや肺がんなどでオプジーボとヤーボイの2剤を使った臨床試験で他社をリードする。

■単剤と比べ2倍

 オプジーボとヤーボイの併用療法の効果の高さについては世界各国の医療機関ですでにいくつかのデータが出ている。今年6月4日、米国臨床腫瘍学会で発表された試験結果では、非小細胞肺がんでPD―L1が「陽性」の患者では、併用による奏効率が57%。オプジーボ単剤と比べて2倍の患者に効いたことになる。しかもPD―L1が「強い陽性」に限ると、92%にも上ったという。


 オプジーボもヤーボイも働きかけるのは免疫細胞だが、それぞれ別の部分に作用する。オプジーボは免疫細胞の「PD―1」というブレーキペダルをがん細胞が押すのを防ぐ。これに対してヤーボイは同じく免疫細胞の「CTLA―4」という別のブレーキペダルに作用する。

 CTLA―4はPD―1と同じブレーキペダル。ただ、PD―1は、がん細胞が免疫細胞の攻撃をかわすために押すブレーキであるのに対してCTLA―4は正常な「抗原提示細胞」と呼ばれる細胞があまり免疫細胞が活性化しすぎないようバランスをとるために押すブレーキだ。

 抗原提示細胞はいわば司令塔の役割を果たす細胞。免疫細胞が攻撃すべきがんの情報を免疫に伝達、そのうえ免疫細胞を元気づけてがん細胞を攻撃させる。

 しかし、免疫細胞が一定程度働けば抗原提示細胞は免疫細胞にブレーキをかける。このブレーキがCTLA―4だ。免疫細胞が攻撃し過ぎて、がん細胞以外の健康な組織まで傷めてしまわないようヒトが持ついわば本能だ。

 免疫細胞のブレーキであるCTLA―4を作動させてしまうと、いくらオプジーボによって、もう1つのブレーキであるPD―1をブロックしても免疫細胞の攻撃力は半減する。

 このため、オプジーボとヤーボイの両方を投与することで免疫細胞が持つPD―1とCTLA―4という2つのブレーキが押されないようにブロック、免疫細胞が持つ外敵に対する攻撃力を最大限に高める。オプジーボとヤーボイの2枚看板がそろえば小野薬品―BMS連合は縮まりつつある後続組をまた大きく引き離すことが可能になる。

 ただ併用する分、副作用が発生するリスクは高まることも事実。併用はもろ刃の剣でもあることを忘れてはならない。


[日経産業新聞2016年10月20日付]














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