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攻めるアマゾン、NFLとストリーミング大型契約の思惑
2016年の米国消費者によるネット通販で43%と圧倒的なシェアを持ち、最近ではスピーカー型の音声アシスタント端末「Amazon Echo(エコー)」のヒットで、ますます存在感を高めている米アマゾン・ドット・コム。同社はこの勢いをそのままに、さらなる攻めに打って出た。

 2017年4月4日、米国のスポーツ界で圧倒的な人気を誇る、プロアメリカンフットボールNFLと、9月に開幕する2017年シーズンのライブストリーミング配信契約を締結したことを発表したのだ。


Amazon.comのホームページ。トップでアマゾン・プライムでの動画視聴サービスを宣伝している(図:Amazon.com)

 現地の木曜夜に開催される「サーズデーナイトフットボール」(TNF)から10試合で実施される予定だ。契約料は5000万ドルと推測されているが、この契約からはNFLとアマゾン、双方の思惑と課題が垣間見える。

 まずNFLだが、これまでは大手ネット企業と組むことによる、特に米国市場向けの大々的なサービス展開には消極的な姿勢を見せてきた。年総額50億ドルもの放映権料を支払う契約テレビ局に配慮していたため、と見られている。

 従来、提供していたゲーム中継のストリーミングは、以下のように限定的なものだった。1.北米以外の海外向け有料サービス「Game Pass」、2.衛星放送のディレクTVによる本来の放送地域外向けゲーム中継が視聴できる有料パッケージ、3.サンデー・チケットの契約者向けサービス、4.日曜夜開催の「サンデーナイトフットボール」を放送するNBCによる自局サイトでの実施、などである。

■NFL、2015年に方針転換

 それが、「OTT(オーバー・ザ・トップ)」と呼ばれるストリーミング配信サービスの普及を背景に、大きく方針転換したのが2015年だった。


NFLの試合の模様1(写真:NFL)

 同年には、米ヤフーと1ゲームをライブでストリーミングすることで契約・実施されたのだ。ヤフーとの契約の特徴は、このゲーム中継が出場チームの地元以外では米国を含め、全世界的に一切テレビ中継されない独占契約だった点にある。この契約でヤフーは1700万ドルをNFLに支払った模様だ。

 ただ、この試合は英国ロンドンでの開催で、米国東部時間の日曜朝9時30分開始というもともと視聴率が望めないゲームだった。テレビ中継がなくても影響が少ないという背景もあったのだ。結果、米国内では164万人がこのストリーミングを視聴したという。

 その後、2016年にライブストリーミングの権利を獲得したのは米ツイッターだった。契約内容は今回と同じ、TNF10試合での実施で、契約料は1試合のみだったヤフーよりも安い1000万ドルと見られている。

 これは独占契約ではなく、同じ10試合を地上波のNBCもしくはCBSが、さらにケーブルチャンネルであるNFL専門局のNFLネットワークもテレビ中継を行ったことが大きな要因となったようだ。

 またNFLの公式携帯電話スポンサーの米ベライゾンは自社端末向けのストリーミング権を持っていたし、CBSも契約者向けのストリーミング権を得ていた。つまり、他に視聴手段が多数あるなかでの契約だったのである。

 それでもツイッターのストリーミングは平均350万人の視聴者を獲得、そのうち55%は25歳以下だったという。同社はこの契約を契機にライブストリーミング事業に力を入れており、2017年第1四半期にはニュースや政治番組などを含めると400以上のイベントをライブストリーミングしている。

■狙いは有料会員の獲得

 そうしたことを踏まえた上で、アマゾンとの契約を見ていこう。まず目につくのは、契約が今回も1年限定である点だ。これはNFLがネット企業のサービス品質や効果、契約形態などを試行錯誤している面もあるだろう。

 しかしそれ以上に大きいと思われるのが、やはりテレビ局との契約であろう。現在NFLはTNFを除くテレビ中継を、4つのテレビ局と2021年まで結んでいる。その契約更新を巡る交渉ではデジタル配信権が重要な項目となるのは明白だ。そのため、契約更新時期をまたぐようなストリーミング独自の長期契約を結ぶとは考えにくいのである。

 その一方で、今回の契約料は契約内容が昨年のツイッターと同じでありながら5倍になった。さらに英ガーディアン紙は、アマゾンが3000万ドル相当のNFLをPRするプロモーションを行う項目が契約に含まれていると報じている。

 独占配信でもないのにこれだけ急騰したのは、ネット側の権利獲得競争が厳しくなっていることがうかがえる。実際、今回の契約交渉にはツイッターや米フェイスブック、米アルファベット傘下のYouTubeが参加していたと言われている。

 では、それほど多額の資金をつぎ込むアマゾンにとって、今回の契約にはどのような意味があるのか。まず注目すべきなのは、今回のストリーミングは有料サービス「アマゾン・プライム」の会員向けという点だ。アマゾン・プライムは日本でも行われている会員制サービスであり、日本では年3900円、米国では99ドルの年会費を支払うと、注文確定日から日以内や当日の配送を無料で受けられたり、音楽・動画配信サービスを利用できたりする。

 その中でも近年力を入れているのが動画配信の「プライム・ビデオ」なのだ。ドラマの制作などオリジナルコンテンツの充実が積極的に図られ、この分野では米ネットフリックスなどと激しい競争を繰り広げている。

 アマゾンはNFLチームの1シーズンを追ったドキュメンタリーシリーズ「オール・オア・ナッシング」を独占配信していたこともあり、今回、人気の高いNFLのゲーム中継配信権を得たことで、さらなる契約者獲得を狙っていると推測される。


NFLの試合の模様2(写真:NFL)

■リーチ数や広告獲得に課題か

 ただ、NFLによるこれまで2年間のストリーミングサービスは、誰もが無料で視聴できていたのが、有料会員のみとなることへの懸念も生じている。米国内でのプライム会員数は6300万人程度と推定されているが、視聴者数はその範囲内に留まることになる。

 これに対し、NFLのメディア部門とビジネス部門の責任者であるブライアン・ロラップ氏は「世界には数千万人のアマゾン・プライム会員が存在する。リーチが限定されているわけではなく、アマゾンは巨大なスケールでサービスを提供できる。むしろ、リーチ数を拡大できると考えている」とコメントしている。

 一方、中継に挿入されるCMに対する懸念もある。テレビ中継においてCMは貴重な収益源だが、昨年のツイッターの場合は1ゲームあたり10から15のCM枠しか割り当てられず、その販売に苦しんだと言われている。この割り当て数は今回も変わらない模様だ。

 さらに、プライム・ビデオの通常コンテンツでは、途中で広告が挿入されない仕様となっている。そもそもプライム会員は、CMが流れることに抵抗感を示すのではいう意見もある。アマゾンはこうしたことも踏まえ、一般のCMではなく自社のオリジナル・ドラマのCMを流すのでは、との臆測もある。

[スポーツイノベイターズOnline 2017年5月17日付]
























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