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創業支援が活発化する沖縄、魅力は地の利や連帯感
創業支援を行うさまざまな施設が全国各地で増えてきている。その1つが、2016年8月に沖縄県沖縄市で開設された「スタートアップカフェ コザ」だ。「1年間で1万人以上が利用した」(スタートアップカフェ コザ代表の中村まこと氏)。コワーキングスペースの提供や創業支援に関する相談を無料で受け付け、プログラミングなどIT関連の講座やものづくりを自由に行えるファブスペースなどを用意。沖縄の地の利を生かし、創業に向けた人づくりや人脈、コミュニティーづくりを進めている。


沖縄市にある「スタートアップカフェ コザ」。沖縄市中心部の商店街の中にあるメインの建物である

50人以上の講師を招いた記念イベント

2017年8月5日、スタートアップカフェ コザの設立1周年を祝う記念イベントが開催された。徒歩圏内6カ所の会場を用意し、20以上のトークセッションやパネルディスカッションを実施。県内だけでなく、県外からも講師を計50人以上招き、現在の世界を取り巻くテクノロジーの動向やスタートアップの現状、未来の働き方など幅広いテーマを取り上げた。


「スタートアップカフェ コザ」の1周年記念イベント。2017年8月に開催された

例えば、「フードスタートアップの未来」と題したセッションでは、オランダ応用化学研究機構(TNO)の西出香氏が講演、フードプリンターが食生活や医療などに与える影響、パスタ製造装置など欧米での研究開発動向を紹介した。

IT時代になって世界中のさまざまな情報が容易に手に入るようになっても、生の人の声を聴き、直接会って話す意義は大きい。聴講に訪れた一般の人だけでなく、登壇者同士も大きな刺激を受けていたようだ。

あるセッションに登壇した川崎市副市長の三浦敦氏は、沖縄の強みやポテンシャルとして次の5点を挙げた。まず、本州と東南アジア地域のほぼ中央に位置する地理的優位性。次にライフサイエンス分野での活用が期待できる豊富な海洋生物資源の存在だ。都道府県の中で最も高い人口の自然増加率、多数の観光客が訪れる豊かな国際性、親族や地域のコミュニティーの結び付きの強さも優位性に数えられる。

これら沖縄の特徴は、川崎市の特徴と相互補完できる部分が多いという。川崎市は研究開発や情報処理分野に携わる大企業、技術力がある中小製造業が多い。一方の沖縄には地理的なメリットや若者の活気、連帯感といった人材面の特徴がある。これらをうまく結び付ければ、新たな付加価値を創出できるという。

商店街に活気が出てきた

「StartupCafeがもたらす地方活性」というテーマのセッションでは、沖縄市に加えて福岡市と大阪市にあるスタートアップカフェの担当者が登壇。こういった施設が街にどのようなインパクトを与えるのか、今後の施設間連携の方向性などを議論した。


他会場で行われたセッションの様子。1周年記念イベントは、6会場で分散開催した。左(a)は福岡市と大阪市のスタートアップカフェ担当者が参加したセッション、右(b)は「ラボドリブンビジネスと沖縄の可能性」と題して開催されたセッション
スタートアップカフェ コザに関して沖縄市企業誘致課の柴田倫子氏は、「施設ができて若い人が多数訪れるようになり、街に活気が出てきた」と話す。スタートアップカフェ コザがある沖縄市の中心街は、米軍嘉手納基地の近く。かつては活気があったが、近年はシャッターを下ろす店も増えており、昼間に訪れる人はあまり多くなかった。直接的な経済効果というわけではないものの、市外から訪れる人も少なくないため、人の流れが変わったという。

同セッションに参加した福岡市スタートアップカフェは、沖縄市よりも早い2014年10月11日、起業相談の敷居を下げる目的で、福岡市内のTSUTAYA内に開設。既に100社以上を創業させているという。創業にチャレンジする人や組織を支援する場の提供が裾野を広げ、起業を支援できる文化づくりが継続的な発展を可能にするとした。

福岡市スタートアップカフェは2017年4月12日、同市内天神駅近くの旧小学校をリノベーションした「FUKUOKA growth next」内に移転。当初は「移転によって訪れる人が減るのではないかと心配したが、そんなことは全くなかった」という。

また、スポーツとテクノロジーをテーマとしたセッションでは、3D技術や人工知能(AI)などを活用したイベントの開催やトレーニング支援の可能性について議論。沖縄市は「スポーツコンベンションシティ」を宣言し、スポーツ交流の中心地になることを目指している。沖縄市のITワークプラザにあるモーションキャプチャースタジオやスタートアップカフェ コザにある3Dプリンターなどの機器や施設を活用してどんな産業を創出できるか議論した。

この他にも、起業アイデアをベンチャーキャピタルの担当者の前で発表する「STARTUP BATTLE FIELD」、海外でのスタートアップ事情などを紹介しながら日本の現状と比較した「グローバルスタートアップとしての沖縄」、研究開発を起点とした産業創出について話し合った「ラボドリブンビジネスと沖縄の可能性」といったセッションがあった。国内、国外を問わない最先端かつ幅広い分野の情報の提供は、沖縄から生まれる新たなスタートアップにとってヒントになったはずだ。

教育プログラムとものづくり施設を1つに

スタートアップカフェ コザは、ITスキル教育などの人材育成を担う「KOZA shore Studio」、Fabスペースの「OKINAWA MIRAI FACTORY」などが一体になっている。メインの施設の1階は無料で使えるコワーキングスペースで、創業に関する相談を受け付ける。同じ施設の2階がKOZA shore Studioで、40日間のプログラミングスクールや全16回のWebアプリケーション開発講座などを実施。いずれも沖縄市民であれば2万円、市外の人でも4万円という低料金で受講できる。

一方のMIRAI FACTORYは、道路を挟んだ別の建物の2階にあり、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を用意する。これらの装置を自由に使える「FAB会員」であれば月額5000円、学生が5人以上のチームで活用する場合は1人当たり月額2000円という価格設定だ。自分自身で試行錯誤しながらものづくりを行える施設の存在は、製品開発の敷居を大きく下げている。


OKINAWA MIRAI FACTORY。メインの施設から道路を挟んだ別の建物の2階にある。3Dプリンターや各種工作機械などを備える

最先端技術の大学院大学の存在が大

沖縄におけるスタートアップ活性化という点で、「沖縄科学技術大学院大学(OIST)の存在がとても大きい」(中村氏)という。OISTは学部を持たない5年一貫性の博士課程だけの大学で、教育・研究は全て英語で行う。神経科学、分子・細胞・発生生物学、数学・計算科学、計算生態学、物理学・化学の5つの分野を1つの研究科に集約している点も特徴的。2017年5月時点での学生・職員の数は973人で、50カ国以上から集まる。


沖縄科学技術大学院大学(OIST)。スタートアップカフェ コザで開催する教育プログラムなどにも協力している


最先端の技術情報を低コストで習得できる環境を提供する

OISTではキャンパスを公開するサイエンスフェスタや研究員による地元中学校での出前講演などを開催し、地域に開かれた大学を目指す。高校生向け見学プログラムでは、延べ190校、1万7857人が参加した。

設立の段階から沖縄振興も柱の1つにしている。OISTの技術開発イノベーションセンターでは、学内の研究開発に基づいたグローバルな新事業や新産業を創出し、沖縄の自立的発展を目指している。産学連携によるベンチャー支援や技術移転なども積極的に行う。

分子構造を3Dで可視化する技術を受託サービスとして提供するベンチャー企業をすでに設立しており、現在は微生物燃料電池を用いた排水処理を行うベンチャー企業の立ち上げにも取り組んでいる。

こうした世界でも最先端の研究に携わる研究者が近くにいることで、教育プログラムへの協力や共同事業といった直接的なものだけでなく、人材交流によって知識を高めたり創業のヒントを得たりといった効果も期待できる。今後、沖縄におけるスタートアップの活動はますます盛んになりそうだ。


[日経ものづくり2017年10月号]
























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【2017/11/09 06:36】 | Think different | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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